2007/09/15

マレーシア映画 ムクシン - mukhsin -

ムクシンとは、主人公があとになってようやく恋だったと気付くほどの、
淡い恋心を抱いた男の子の名前です。
あいち国際女性映画祭2007にて観てきました。
女性プロデューサー2名のゲストトークもあり、
裏話を聞く事ができ有意義なものでした。

その一部とは、

1.主役の女の子と実の姉二人もこの映画に出演している
(母親役と偶然出会った家族の母親役の女性)
2.本編終了後に続いて流れる撮影現場の映像の中心で、
オルガンを弾く男性が監督の父親で、その隣で歌っているのが母親、
その後ろで踊っているのが監督自身
3.主人公の家庭は監督自身の家族がモデル
4.男の子が主役のオーキッドを意味ありげに見つめているのは、
ヤスミン監督の「細い目 sepet 」への伏線
5.男女両子役は新聞広告でオーディションの告知をした
6.ヤスミン監督のご主人も役者として登場している
7.主役のオーキッドという名前はヤスミン監督の姉妹の名前
8.ヤスミン監督はもともとCM業界の出身

4の事実を知って、ヤスミン監督の他の作品も必ず見なければという気にさせられました。
昨年の同映画祭では「細い目」が上映されていたにもかかわらず、
わたしったら見逃してるし~。
これから日本語字幕で観られる機会が近場であったら、
必ず馳せ参じようと思いました。

ヤスミン監督の作品はいずれも、
異民族間の恋愛がテーマになっており、
時にそれが宗教問題と絡み合ってマレーシアでは物議をかもしたこともあるのだそう。
ムクシンで描かれる温かい主人公の家庭がヤスミン監督の育った家庭を投影しているとするならば、
監督自身にリベラルな考えが宿るのも当然と思いました。
批判をものともせず次々といい意味での問題作を作り上げる監督に、
頼もしさを感じます。

ストーリー自体はひと夏の甘酸っぱい恋ものがたりというもので、
特に新鮮さはないけれど、
子役の二人の演技が上手なのと、
マレーシアの美しい自然に胸を打たれました。
この映画を両親に捧げるとの言葉通り、
監督の家族に対する思いのたくさんつまった映画でした。

また、オーキッドの家に同居するおばさん役で、
Adibah Noorがいい存在感を出していて、
個人的に興味深いところでした。